北海道のイメージというと、広大な原野・湿原とヒグマやエゾシカ・タンチョウなどに代表される野生生物が重い浮かべられるようです。
 北海道は、日本の中でも特に北方系の野生生物が生息し易い環境と言えますが、種類によってはその数が減少しているものもいます。今、これら野生生物の保護が求められているところです。
 豊かな自然は、将来にわたり適切に保全し後世に伝えていかなければなりませんが、保全のための科学的な調査研究が、これまでほとんど行われてきておりません。
 このため、この5月に全国の都道府県の試験研究機関では初めての部門として自然環境部が誕生し、新たな北海道環境科学研究センターの1部としてスタートをきりました。
 自然環境部では、野生動植物の生態や生態系のメカニズムの研究と、これらをふまえた野生動植物の適正な保護管理のための調査研究を進めます。
 現在、自然環境部は植物環境科と野生動物科の2科から成り、総勢8名があっちの山、こっちの湿原と全員野外に飛び出して調査を行っています。現在の両科の仕事はといいますと・・・・・。

【植物環境科】
 北方的色彩の強い森林や湿原、海岸植生などの豊かな自然環境を合理的に保全するために次のような調査研究を行います。
1.植物群落や特定植物の保全対策の基礎をつくる為の植物の生態や分布に関する調査研究。
2.道立自然公園その他すぐれた自然地域の現況と保全に関する調査を行い、保全対策を提示する。
3.動植物が一体となった生態系の保全を図るため植物と動物の相互関係に関する調査結果。

【野生動物科】
 野生動物の生息環境の保全を図りながら、その適正な保護管理を進めるために次のような調査研究を行います。
1.野生動物の生息環境や分布、生態、個体数等に関する調査研究。
2.希少種の保全に関する基礎的な調査研究。
3.有害鳥獣による被害実態及び防除に関する調査研究。
 自然環境部ではこれらの調査研究テーマにそって今年度は、夕張岳登山道の踏みつけ被害による高山植物の回復のための調査や美久川流域の水生・湿生植物の調査などを進めています。
 さらにワイルドライフマネージメントの一環として、道南域でのヒグマのテレメトリー調査と道東域でエゾシカ個体群調査をスタートさせました。
 野生動植物との共生を合い言葉に今日もフィールドワークに励んでおります。
(堀)

 近年、先端技術産業の化学物質の使用による地下水汚染、地球の温暖化現象などの新たな環境問題が生じ、さらにそれに従う生態系への影響がとりざたされるようになりました。
 そこで、平成3年5月に従来の公害研を拡充改組し、野生動植物や自然環境を含む環境問題に総合的に対処するため、環境科学研究センターが新設されました。


【総務部】
 総務課は、当センターの庶務、財務を所管しております。
 企画調整課は、事業の企画、実施にあたりセンター内部や外部の試験研究機関などとの調整を行います。また、環境情報資料室を設けるとともに環境保全の意識の普及、啓発にあたっております。

【環境保全部】
 おもに、法律に基づく大気環境、公共用水域の常時監視ならびに各汚染物質の発生源の監視、指導を行っております。
 大気環境科は、環境大気の常時監視のほかに臭や酸性雨および清澄地域の大気質の調査研究を行っております。また、浮遊粉じんの変異原性やアスベスト、スパイクタイヤなどの問題にも取り組んでおります。
 水質環境科は、河川・湖沼・海域・鉱山などの公共用水域や地下水の常時監視のほか、環境基準が未達成である水域の原因解明や河川、海域における汚濁機構の解明と評価に関する調査研究に取り組んでおります。
 技術指導科は、特定事業所の排水やばい煙発生施設の立入検査を行い、随時技術指導を行うほか、温室効果にかかわるガスについてばい煙施設や湿原などの発生源からの採取法、分析法について調査研究を行っております。

【環境科学部】
 近年、問題になってきている化学物質による環境汚染や湖沼の保全、酸性雨(雪)による陸水生態系への環境や騒音、振動の問題に取り組んでおります。
 環境科学科は、おもに化学物質やゴルフ場農薬の環境での影響調査を行っております。さらに先端技術産業で使われる洗浄溶剤の挙動や農薬の環境における存在状態の調査研究も行っております。
 地域環境科は、おもに湖沼の調査を行うほかに、湖沼での集水域の汚濁負荷特性や物質循環、生態系構造の特性について調査研究をおこなっております。また酸性雨(雪)による陸水影響について広域モニタリングなどの調査研究を行っております。
 環境工学科は、おもに車、鉄道、航空機などの交通騒音やカラオケ騒音およびこれらによる振動の調査測定をおこなっております。また音響を利用した快適環境づくりとして公園や水辺などで音の快適さの調査研究を行っております。

【自然環境部】
 野生動植物の生態や生態系のメカニズムを解明するための基礎的調査やこれらを基に適正な保護管理を図るための総合的な調査研究を行います。植物環境科野生動物科の調査研究の詳細については、特集に紹介されておりますのでここでは割愛させていただきます。さらに今後、動物と植物が一体となった生態系の保全を図るためにも、植物と野生生物との相互関係についても調査研究を行います。
(編集委員会)

【ノットと海里】
 海洋の分野には独特な単位があり、その由来や測定法には大変人間臭いものもあります。
 ノット(結び目)の由来は、先端に仕掛けをつけたロープを走行中の船から海に投げ込み、14秒計の砂時計の砂が落ち切る間にグリップを通る7.0m毎の結び目の数を数え速度としました。1海里×(14'/3600')=7.2mであるのに7.0mを用いているのは、みかけの速度を速くして航海の安全を見込んでの事です。座礁しないように海図には干潮時の水深が書き込まれているのも同様な理由です。
 では、船の速度単位として使われているノット(マイル/時)はどの様な数字でしょう。このマイルはヤードポンド法のマイル(約1.6km)ではなくて、海里(シーマイル)ですので1ノット=1.852km/時となります
 これは単なる偶然的な換算係数ではなくて、メートルの基になった地球の大きさと古代スメル人が用いた60進法ゆえに定まる数です。1海里は子午線一分ぶんの長さですから40000H/(360゜×60')=1.85185・・・となる単位の根元に係わる理由をもった循環数なのです。
 ほかにも海洋に独特の単位がいくつかあります。
◎角度の単位に東南東等の万位を用います。平面角を4、8、16、32、、に分ける分け方を点(Point)方式といい、風や船の進行方向を表します。32点の場合は、北(ノース)、北北東(ノースノースイースト)、北東微北(ノースイーストバイノース)というふうに呼びます。
◎濃度単位にμg−at/lとat(アトム)が使われます。g−atはモル=moleであり、従ってg−at/lはモル濃度(Molarity)と完全に同じものです。
 海洋以外の分野でも独特の単位が用いられてきました。カラット、バレル、もんめ等は代表例です。
これらは、いくら馴染みや愛着が深くてもkg/m2がパスカルに、1/Ωがジーメンスに換わった様に、いずれ国際単位系(SI= System Internationald' Unites)に置き換えられていくことでしょう。
(斉藤)

 近年、わが国は世界有数の工業立国として、めざましい発展を遂げてきました。しかし、産業の急速な発展は反面、工場などの排気ガスや排水による大気汚染、水質汚濁などをもたらし、大きな社会問題となったのは、記憶に新しいところです。
北海道では、これらの問題に対処するため、昭和45年に北海道公害防止研究所を設置し、調査研究に取り組んでまいりました。
 最近は、社会情勢の変化や生活様式の多様化が進み、公害や環境問題の領域が広がる傾向を見せており、オゾン層の破壊、温暖化など地球規模での環境影響や、さらには生態系に及ぼす影響などが問題となっております。
 このような情勢の変化に対応するため、今年の5月に、従来の公害防止研究所の組織を拡充強化し、これまでの公害に関する対策部門のほか、野生動植物の調査研究を行う自然環境部門を新設し、名称を「北海道環境科学研究センター」として、新たなスタートをいたしました。
 環境の保全は、何よりも優先させなければならない大きな課題といえます。
「北海道環境科学研究センター」は、道民の皆さまの生活を守るため、全力をあげて環境問題に取り組んでまいります。皆さまのご理解とご協力を心からお願い申しあげ、新たなスタートにあたってのごあいさつといたします。
(所長 平野鉄也)

◎今春以降次の方々が、新しい仲間となりました。
 平野鉄也  三宅 雅  津島正緒  伊藤嘉記
 大塚英幸  石川 靖  村野紀雄  梅木賢俊
 宮木雅美  梶 光一  西川洋子  堀 繁久
 間野 勉  富沢昌章