近年、地球は温暖化していると言われています。世界の年平均気温の上位4つまでが1980年以降に観測されたり、北アルプスなどでは氷河が年々後退しています。
 温暖化が進むと、雨量や気候の変化により動物や植物に大きな影響があるでしょう。内陸では砂漠化により食料の確保が困難となり、南極や北極の氷が解けて海面が上昇し陸地の一部が水没することが予想されます。
 温暖化は、温室効果の増強が原因であると考えられています。地球の大気は、太陽から降り注ぐ紫外線を制御するなど、地表の環境の保持に重要な役割を果たしていますが、その役割を果たすオゾン層が最近、薄くなったり穴が開いたりしているのも気になる現象です。
 地球に注ぐエネルギーの約68%が地表に到達し、地表は蓄えたエネルギーを赤外線として大気に向かって放射しています。この赤外線の一部は、大気中の物質によって吸収され、再び地表に向かって反射されます。この反射分だけ暖かくなることを温室効果と呼び、この効果をもたらす物質を温室効果ガスと呼んでいます。
 大気中の温室効果ガスには、二酸化炭素、水蒸気、メタン、亜酸化窒素などがあります。これらは、本来自然界の中での発生量と消滅量の釣り合いが取れており、その濃度は過去数億年にわたってほぼ一定に保たれてきたと考えられています。ところが産業革命以降の石油、石炭などの化石燃料の燃焼によってその濃度が急激に上昇し、それに伴い赤外線の吸収量が増加し、温室効果が増強していることが明らかになりました。
 温室効果ガスの中で、その排出量の大きさから二酸化炭素が温暖化に最も大きく関係していると言われています。二酸化炭素濃度は、1800年頃には約280ppmでしたが現在は約350ppmで200年足らずの間に25%も増加しています。
 アメリカのNOAAのハワイマウナロマ観測所では1958年から二酸化炭素の観測を続けており(図1)、最近の急激な濃度の上昇が観測されています。
 またメタン亜酸化窒素もそれぞれ一年間に0.8〜1.0%、0.2〜0.3%の割合で増加していると言われています。メタン、亜酸化窒素の濃度はそれぞれ約1.8ppmと0.31ppmで二酸化炭素に比べ大気に含まれる量は微量です。しかし一つずつの分子を比べた場合、二酸化炭素の10倍、100倍と効率良く赤外線を吸収するため、温暖化に寄与する割合は無視できないと言われています。
 現在、世界では温暖化の緩和に向けて具体的な対策が話合われており、二酸化炭素については濃度を現在のレベルで凍結するという方向で進んでいます。他の温室効果ガスについては、まだデータ蓄積量が少なく今後の研究成果が待たれています。
 当環境研でも、3年前からメタンと亜酸化窒素について北海道における排出量や環境中の濃度の把握を目的に@人為発生源として工場、水田、畑などからの排出量調査A自然発生源として湿原湖沼、干潟などからの排出量調査B都市地域とバックグラウンド地域での大気環境濃度モニタリング調査を行っています。
 温室効果ガスの濃度が上昇するのは、人間がエネルギーを消費することによってもたらされるものであり、われわれ一人ひとりが、まず省エネルギーに心がけることが最も身近な温暖化対策です。
(岩田)

■熊のくくりワナ猟■
 狩猟で野生動物を捕獲する方法には、銃によるもの網によるもの、そしてワナによるものがあります。クマ猟では、これまで銃と「くくりワナ」が用いられてきました。「くくりワナ」とは、ワイヤーのループにヒグマが足を入れるとスプリングによってループが締まる仕組みになっているもので、本州ではイノシシ猟等に盛んに用いられています。北海道で「くくりワナ」を用いたヒグマの狩猟は、本州の職業猟師によって、1980年代末に広まりました。
 ワナによる野生動物の捕獲は、狩猟者が獲物を求めて山中を歩き回る銃による捕獲と比べて、効率が格段に良いとされています。「くくりワナ」は安価で軽量なため、一人で多数のワナを広域に仕掛けることができます。
 北海道自然保護課の調べによりますと、狩猟者当たりのヒグマの捕獲数は、ワナ猟によるものが銃猟によるものの約11倍に達し、捕獲効率の高さを示しています。北海道では地域的にはヒグマの生息数が減少しているので、ワナ猟がこのまま続くと絶滅が心配されるようになりました。
 また、平成2年にはクマの胆のうを大きくするために、クマを捕獲した後そのまま放置する者があり、知らずに近付いた住民が襲われそうになりました。さらに、本年になってワイヤーを引きちぎって逃げた後に衰弱死したクマが発見されたり、ワイヤーによって足首から先がちぎれたと思われるクマが捕獲された事例がありました。つまり、ワナによって傷ついたヒグマを作り無責任に山に放していることになります。手負い状態になったヒグマによる人間への被害も心配されます。
 これらの問題点をふまえて、今年度の狩猟期(10月1日〜来年1月31日)から、ヒグマの狩猟に「くくりワナ」を使用することが禁止されることになりました。受難続きだったヒグマにとって、一つの朗報といえるでしょう。
(間野)

【北方圏フォーラム第2回総会、札幌で!】
 平成5年9月に、トロムソ(ノルウェー)で第1回「北方圏フォーラム」総会が予定され、北方圏の8カ国、13地域が共通した課題を協議します。
 この「北方圏フォーラム」は、従来の「北方圏会議」を平成3年11月に発展的に解消したもので、総会は隔年に開催されます。現在、米国アラスカ州のアンカレッジにある事務局には、北海道からも青井氏(環境対策課主幹)が派遣されています。
 この9月にアンカレッジで開かれた理事会では、第2回総会(平成7年)の開催地に札幌市が決まりました。フォーラムでは、承認されたプロジェクトについて各メンバーが原則としてA(積極的)、B(一般的)、C(限定的)の3つの参加形態のいずれかで参加することになっており、北海道は、すでに優先プロジェクトとして「環境調査とモニタリング」「野生動物保護」の二つのテーマを提案しております。第1回及び第2回総会ともに国際的で有意義なフォーラムとなるでしょう。
(藤田)

◎根室市(公害係)の巻
 今回は、このところ話題の北方領土に緑の深い根室市です。昭和46年に企画係として発足し、いくたびかの変遷を経て昭和54年に民生部衛生課公害係となり現在に至っています。公害苦情処理や分析業務を効率的に行うために昭和55年に市公害防止センターを設置し、さらに昭和61年に環境保全思想の普及啓発を目的として同所に市環境センターを設置するなど積極的に環境問題と取り組んでいます。
 現在、高島係長のもと佃、本山両技師の3名で数々の問題に精力を注いでおります。当センターとは、公害研当時は、もとより今でも風蓮湖などの調査を通してご協力いただいております。
 今後は、北方領土との交流等により、さらに環境問題についての関心が深まることでしょう。
(藤田)

■ひ 素■
 ひ素は、森永ひ素ミルク中毒事件や土呂久鉱害事件などで世間に広く知られている元素です。森永事件は昭和30年、約3カ月の間に西日本で乳児に発熱やおう吐などの症状が発生し、被災児は12000名余り、死者130名余りと悲惨な事件でした。これは、安定剤として用いた第二リン酸ナトリウム(アルミニウム精製の副産物)にひ素が混入したものです。
 また、土呂久鉱害事件は"天の岩戸"で有名な宮崎県高千穂町にある鉱山(江戸時代頃〜昭和37年)で昭和46年に小学校教諭がこの地区住民の間に亜ひ酸中毒の症状がみられる事を指摘し、その追跡調査の結果、健康障害や鉱山で働いていた人もひ素中毒で死亡していた事が判明した事件です。
 ひ素は、以外と人とのつきあいが深いようで、医薬品としては紀元前400年前から使われており、かのヒポクラテスも潰痕の治療に使用していたとされ、中世では梅毒の治療にも使用されたようです。
 一方、毒性についても古くから知られており、推理小説では青酸カリと並んで多くの作家(ナポレオン1世は死骸の毛髪中から通常の人の10倍のひ素が検出されており毒殺の可能性があるとされている)に重宝がられました。
 自然界におけるひ素の濃度は表のように見積もられており、穀物、果実、野菜などの新鮮物にも0.5μg/g以下のレベルで含まれています。ただ、海産物は海水中の濃度が低い割には含有量は多く、数十〜数千μg/gのオーダーであり藻類等がとくに多くなっています。しかし、海産物のひ素はなぜ無害なのかその濃縮機構は、まだ明らかになっていません。
 このように悪いイメージが強いひ素ですが、1975年には生体必須元素として認定されています。
 また、近年エレクトロニクス産業の材料の心臓とも言える半導体に高純度ひ素(ガリウム−ひ素、インジウム−ひ素)が多用されています。人間に限らず元素にも二面性があるようですね。
(石川)

 平成3年11月18日に環境庁創立、全国公害研協議会結成20周年記念として地方公害試験研究功労者の表彰式が東京であり、当所の白川比呂志環境保全部長が、受賞されました。20余年にわたる大気汚染、騒音、振動などの数ある調査研究や脱スパイクタイヤ推進条例、環境影響評価条例の作成などにも尽力された功労によるもので栄えある授賞です。
 白川部長の授賞記念祝賀会は、平成3年11月29日に札幌会館で向後初代所長を始めとする公害研OBや行政の方々など多数の関係者が参列して盛大に行われました。
 また本年6月1日には、悪臭防止法施行20周年記念として、功績者の表彰式が東京であり、昭和55年に当所を退職されました鎌田紀元大気部長が、授賞されました。長年にわたる悪臭に関する数々の分析法の確立などに対する功績によるものです。授賞記念祝賀会は、平成4年6月12月に同じ札幌会館で多数の関係者が出席して盛大に行われました。
 今後とも、お二人のさらなる御活躍をお祈りいたします。
(藤田)

◎当所は、環境科学研究センターとして新たに平成3年5月にスタートを切りましたが、庁舎の増築が目下行われています。完成は、本年12月25日竣工予定です。続いて従来の庁舎の改築が進められることになっており平成5年3月末までには、全てが終了する予定です。