【第2回】

今回も気象庁のレポートのご紹介です。


◆◆◆ 気候変動監視レポート2012 ~気象庁~ ◆◆◆

気象庁では、平成8年(1996年)より、気候、海洋、大気環境の観測・監視結果を取りまとめた「気候変動監視レポート」を刊行しています。前回ご紹介した「地球温暖化予測情報 第8巻」とあわせて気候変動のモニタリング及び予測に関しての適応策検討の基礎資料となっています。 2012年のレポートでは、冬のユーラシア大陸の顕著な寒波や北~東日本における厳しい残暑、米国の顕著な高温・少雨についての解析結果を掲載するとともに、猛暑日の日数や1時間降水量50mm以上の回数といった極端な現象の長期変化傾向、さらには二酸化炭素を海洋が吸収することによって生じる「海洋酸性化」等の新たな監視結果も掲載しています。

北海道に関係する記載も多くありますが、今回ご紹介するのは、2012年の北日本(北海道、東北)で8月下旬から9月中旬にかけて、平均気温が3旬続けて平年を大きく上回ったことについてです。これは北日本、東日本、西日本、沖縄・奄美の各地域における平均気温を5日移動平均(前後各2日を含む5日間の平均値)の平年偏差の調査を開始した1961年以来の高温とのことです。1年前のことなのでご記憶の方も多いと思いますが、9月に入っても涼しくならず、特に9月18日には日最高気温が羽幌で33.9℃を記録するなど道内7地点で、日最低気温が札幌で24.1℃を記録するなど道内6地点で、9月の観測史上最高を記録しました。 また、北海道周辺海域の海面水温も非常に高くなり、9月中旬の海面水温は22.5℃で平年より4.6℃高く、1985年以降の全期間を通じてもっとも高い旬平均海面水温になりました。 この影響でしょうか、9月17日には小樽市付近の定置網にジンベエザメ(全長3.5mのオス)がかかり、その後おたる水族館に提供されたり、釧路市付近の海でも8月下旬から熱帯の魚のマンボウがかかり始め、1日に1000匹にも達したというニュースがありました。


気候変動監視レポート2012 P5
「図1.2-2 地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列(2012年1月~12月)」より

気候変動監視レポート2012 P19
「図1.3-24 北海道周辺海域の海面水温の推移(7月~9月)」より

1985~2012年の年ごとの旬平均時系列。赤線が2012年、灰線がその他の年、黒線が1981~2010年の平均値


この残暑の原因については、

・日本付近の上空で偏西風が大きく北へ蛇行した

・日本の東の海上で太平洋高気圧が強まった

・高気圧の張り出しにより南から暖かい空気が流れこんだ

・これらの影響と日射により気温が上昇した

と説明されています。また、蛇行する理由についてはアラビア海からベンガル湾にかけてとその周辺域でモンスーンに伴う積雲滞留活動が活発だったことが一因と説明されています。


気候変動監視レポート2012 P20
「図1.3-27 2012年の北・東日本の厳しい残暑をもたらした主な要因の模式図」より


また、8月下旬と9月中旬は偏西風の北への蛇行に加えて、フィリピン北東海上の活発な積雲対流活動や沖縄・東シナ海を北上した台風(第14号~16号)の影響により、北・東日本で高気圧が非常に強まったことも厳しい残暑の原因であるとしています。

今年の夏、日本では高知・四万十市で41.0度と観測史上最高気温を記録し、集中豪雨やゲリラ豪雨も多発しました。北海道の気象についても今後注目する必要がありますね。

【今回ご紹介した文献はこちら・・・】
http://www.jma.go.jp/jma/press/1307/12a/ccmr2012.html



【過去の文献紹介】
2012年9月12日 【第1回】  地球温暖化予測情報 第8巻 ~気象庁~ 

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