【第4回】

寒くなりました。スキーシーズン到来です!
今年の冬は大雪との予想がされていて、今シーズンもスキーを楽しめそうです。 スキー人口は1993年をピークに減少傾向が続いていたものの、最近ではカービングスキーなどの道具の進化や、1987年に大ヒットした映画「私をスキーに連れてって」の影響を受けた世代が家庭を持つようになり、子どもと一緒にスキーを楽しむようになったこともあってスキー人気は復活傾向だとか。 北海道の観光産業にも良い傾向ですね。しかし地球温暖化によって将来、「スキーができない」事態は発生しないのでしょうか? 心配なので今回は以下の文献で調べてみることにします。

◆◆◆ 地球温暖化がスキー場の積雪量や滑走可能日数に及ぼす影響予測-気象庁RCM20予測を用いて-◆◆◆
◇◇◇ 著者:中口毅博(2010) 芝浦工大紀要人文系,44-1,p71-76◇◇◇ 


この文献は、地球温暖化によるスキー場の将来の積雪量の変化と、滑走可能日数の変化を予測したものです。スキー場の積雪量の将来予測は、

【1】過去のスキー場の平年積雪量を算出し、
【2】予測ツールを用いて【1】の再現性を確認したのち、
【3】将来の平年積雪量を算出する

という手順を踏んでいます。

【1】
気象庁の気候メッシュ値を利用しています。その他にも気象庁のサイトには過去の気候に関するデータが充実しており参考になります。
(参考:http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

【2】
IPCCのA2シナリオに基づき、水平解像度20kmの高解像度の地域気候モデル(MRI-RCM20)を用いて行っています。 A2シナリオとは経済重視で地域志向が強まったと仮定したシナリオのことです。
(参考:気候変動適応策文献紹介シリーズ第1回
再現性については、スキー場の積雪量が1kmメッシュに対してMRI-RCM20が20kmメッシュであることもあり、高い相関関係は得られず説明力は高くないものの、現状から将来にかけての積雪量増減率の予測は可能であると判断しています。
なお、今回の文献は2009年に執筆されたものですが、近年は5kmメッシュで計算できるモデルが出ており、さらに精度が上がった計算も可能となっているようです。

【3】
【1】【2】を踏まえ、2031年~2050年及び2081年~2100年の積雪量増減率平均値を求めています。有効データが得られた全国275スキー場のうち、2031年~2050年において増加するのは24スキー場であるとのことです。北海道では道央の数か所のスキー場が積雪量が増加すると予想されていますが、他のスキー場は減少しています(図1)。
これが2081~2100年の予想となるとさらに積雪量の減少は加速され、北海道のすべてのスキー場は積雪量の減少が予想されています(図2)。


図1 スキー場ごとの積雪量増減率平均値(2031年~2050年)
○は増加。●は減少。
出典:地球温暖化がスキー場の積雪量や滑走可能日数に及ぼす影響予測 ~気象庁RCM20予測を用いて P3より


図2 スキー場ごとの積雪量増減率平均値(2081年~2100年)
○は増加。●は減少。
出典:地球温暖化がスキー場の積雪量や滑走可能日数に及ぼす影響予測 ~気象庁RCM20予測を用いて P3より

 また、滑走可能日数ついては、電話ヒアリングによって滑走可能な積雪量を調査し【3】と比較することによって推計しています。 全国15スキー場から回答が得られ、2008年では15スキー場平均で125日あった滑走可能日数が2031年~2050年になると平均で39日、2081年~2100年に至っては19日と約1/6となることが示されています。

 その他、夕張市のあるFスキー場の滑走可能日数が年ごとに棒グラフで示されています。2008年シーズンの滑走可能日数は120日ですが、2031年から2050年までの20年間のうち滑走可能日数が20日以下になるシーズンが8年に及ぶこと、2081年から2100年までの20年間のうちでは41日を超えるシーズンがなくなってしまうなどの結果となっています (表1)


表1 Fスキー場の滑走可能日数
滑走可能日数 2031年~2050年 2081年~2100年
00~20日 8年 17年
21~40日 8年 3年
41~60日 3年 0年
61~70日 1年 0年
出典:地球温暖化がスキー場の積雪量や滑走可能日数に及ぼす影響予測 図9及び図10より作成



 北海道は、言うまでもなくウィンタースポーツが盛んな地域です。さらには雪まつりや屈斜路湖における御神渡りなど自然を生かした観光、わかさぎ釣りなども魅力です。
 温暖化の影響を少しでも和らげ、将来にわたって北海道の自然を満喫していきたいですね!

【今回ご紹介した文献はこちら・・・】
http://homepage1.nifty.com/nakaguti/work/ondanka/ski.pdf


【過去の文献紹介】
2013年09月12日 【第1回】  地球温暖化予測情報 第8巻 ~気象庁~ 
2013年10月10日 【第2回】  気候変動監視レポート2012 ~気象庁~ 
2013年11月14日 【第3回】  地球温暖化が農林水産業に及ぼす影響評価と緩和及び適応技術の開発 ~農林水産省~

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